フィリピンワークキャンプ活動報告

2015年度フィリピンワークキャンプ活動報告

 9月22日(火)〜29日(火)の1週間,2年生7名と教員3名でフィリピンワークキャンプに行ってまいりました。今年で12回目になる研修ですが,昨年から新たな活動が始まり,今年もルソン島南端のソルソゴン州マトノッグ町でのマングローブ植林を中心に,公益社団法人アジア協会アジア友の会(JAFS)のコーディネートで活動を行いました。昨年同様,JAFSの熱田典子さんとAFSマトノッグのジーナさんに大変お世話になりました。

キアポ教会にて

 マニラに到着してから私たちが訪れたキアポ教会は,一般大衆に開かれた教会で,17世紀につくられたブラックナザレという黒い肌のキリスト像で有名です。熱心な信者の方々は1日に何度もミサに訪れるそうです。ここでは,文房具(ノート30冊,鉛筆470本,消しゴム35個,クレヨン19箱,折り紙56セットなど)を寄付し,大船渡教会や宮津教会のフィリピンの方へのプレゼントとしてカレンダーを購入しました。

ココナッツヤシ繊維加工場(イロシン町)にて

 2日目にマニラからレガスピへ飛行機で移動した私たちは,ワゴン車2台でルソン島南端のマトノッグ町へ向かいました。その途中にあるイロシン町にJAFSが地域支援しているココナッツヤシ繊維加工場があり,そこで働く女性たちのこどもたちのために文房具(鉛筆150本,消しゴム50個)を寄付しました。その後,ココナッツヤシ繊維のネットづくりを体験しました。

バヌアンダン小学校(マトノッグ町)にて

 マトノッグ町の宿泊地から徒歩5分ほどのところにバヌアンダン小学校があります。ここには7学年(プレスクール・1〜6年生)の生徒83名と先生5名が在籍しています。初めての交流ということもあり,生徒たちは緊張した面持ちでしたが,日本で練習した歌(世界に一つだけの花)と踊り(よさこい)を披露しました。その後,小学生一人ひとりに手渡しで文房具を渡しました。ここでは,生徒1人あたりノート1冊・鉛筆3本・消しゴム1個、学年ごとに画用紙とスケッチブックを1冊ずつ・クレヨン2箱・折り紙5セット、学校にボール3球を寄付しました。

舗装道路の視察(カマチレス地区)

 バヌアンダン小学校から10分ほど歩いたカマチレス地区では,セメントで舗装された道路を視察しました。これはウォーカソンの寄付金によってできた30mほどの道路で,「完成したおかげで遠回りをせずに済む」と喜んでもらえました。実はこの道路づくりのワークを希望していたのですが,既に出来ていて私たちは少しショックでした。それでも,ほんの僅かではありますが,ウォーカソンの寄付金が役に立っているところを見られたことは私たちにとって大きな希望となりました。ちなみに完成した道路には現地の方の計らいで,「KYOTO GOSEI HIGH Sch.」の文字が刻まれていました。

マングローブ植林活動(パグリラン村)

 マトノッグの宿泊地からボートで40分ほどのところにあるパグリラン村にてマングローブの植林活動を行いました。ここは昨年の先輩達が植林したところでもあり,昨年同様5000本を現地の小学生と一緒に植えました。暁星の生徒1人につき2人の小学生がバディとなり,協力しあって(助けられてばかり?)1時間ほどで植えることができました。

 その後,先輩たちが植えた場所の視察をしました。後に補植した分も含めて70〜80%が無事に育っているのを確認することができました。自分達のマングローブも同じように育ってほしいと願う一同でした。

パグリラン小学校での交流

 生徒107名が在籍するパグリラン小学校にも文房具(生徒1人あたりノート1冊・鉛筆3本・消しゴム1個・スケッチブック1冊、高学年にはクレヨン1箱・ボールペン2本など)を寄付しました。ここでは歓迎会を開いていただき,現地の小学生や保護者の方のダンスが披露され,暁星高校もよさこいを踊りました。

 4日目にこどもたちの給食づくりをしました。隊長の仁科先生とJAFSの熱田さんの指導のもと,生徒たちは日本のお米とルウを使ってハッシュ・ド・ポークを作りました。野菜を切り,炒め,煮込み,最後に「おいしくなるおまじない」をかけてこどもたちに提供しました。量の関係で50名にしか提供できませんでしたが,こどもたちの笑顔を見ることができて生徒たちもホッと一安心。無事に給食を楽しんでもらえました。

 このときも交流をする時間がありましたので,集まった小学生と一緒に「ようかい体操」を踊り,シャボン玉やバルーンアートなどで一緒に遊びました。

マングローブ植林活動Part2(ティクリン島)

 パグリラン村からボートで20分ほどにあるティクリン島という無人島へ移動し,マングローブ植林を行いました。ここも先輩達が植林をしたところですが,こちらは波が強いせいか50〜60%の生存率でした。途中,雨が振り中断せざるを得ませんでしたが,それでも何とか5000本を植えることができました。

パグリラン村の井戸を視察

 パグリラン村の井戸を視察にいきました。この井戸は海に面しているため,海水と混ざり生活用水としてはあまり良い状態ではありませんでしたが,ウォーカソンの支援でコンクリートを強化し,海水が混ざらない工事を行うことができたそうです。現在はほぼ真水の状態ですが,村の一番低い位置にあるため,さらに深く掘って水圧を高くして高い位置から各家庭に送り込むようにしたいとのことでした。

※パグリランの人々とAFSソルソゴンの協力のもと,京都暁星高校とJAFSの支援でこの井戸を改善することができました。2015年9月

サンタ・イザベラ小学校でのワーク

 先輩たちが壁塗りをお手伝いしたサンタ・イザベラ小学校に今年も訪問しました。政府の方針で各小学校にPC10台が配布されることとなり,コンピュータルームの窓に防護柵を取り付けることになったそうです。この防護柵のサビ止め塗装と取り付け作業を手伝いました。

雄大な自然と人の温かさに触れて

 普段の生活では味わえない雄大な自然とどこに行っても私たちに優しくしてくれるフィリピンの方々の温かい心に触れて,本当の豊かさとは何かを考える機会を得ることができました。物にあふれた日本での生活を顧みて,人としてどう生きるべきかを考えていきたいと思いました。

 

生徒の感想文より(抜粋)

◎マニラの街を歩いているとき,ダンボールの上で寝ている人,道端で倒れている人,渋滞で進まない車の運転手に必死に商売をしている人など,日本の生活では想像もできないようなことを見て,同じ人間なのにどうしてこんなにも貧富の差があるのだろう…と驚きとともに悲しい気持ちになりました。

◎一週間のフィリピン研修で一番に思ったことは,本当の幸せとはお金がたくさんあり便利な生活ができることではなく,まわりに温かい人たちがいて一緒に過ごせることではないか,ということです。

◎一日一日が本当に濃かった。とても面白く楽しいことばかりだった。ヤシの木登りも一気に上達した。日本という枠から飛び出し,フィリピンにどっぷり浸かった私たちは毎日たくさんの驚きがあった。(中略)フィリピンの人口は今や一億四千万超,その中で富裕層はたった10%である。だが,その富裕層が国の富の半分以上を保有しているのだ。このホテルに一泊するお金でいったいどれくらいの人がまともなご飯を食べられるだろう。ここに入っていく私たちをどんな気持ちで見ているのだろう。「あたりまえ」じゃないんだ。頭の中にぐるぐると巡る思いは,今までデータ越しに見たり調べたりしていたときよりもずっとずっと重く私にのしかかった。

◎現地の子どもたちと一緒にマングローブの植林をすることは,一番貴重な体験でした。ウォーカソンで集めたお金でマングローブを植えているので,みんなの思いを背負って植える責任を感じました。

◎マングローブの植林は,現地の人の助けもありましたが,5000本を植えることができて嬉しかったです。私達が行った全ての支援活動は,現地の方の支えがなければ成功しなかったと思っています。本当に感謝しています。また,全く知らない日本人をここまで受け入れてもてなしてくれる心は,私達も持つべきだと思いました。

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