3日目の午前は,沖縄体験ニライカナイ(まえだ体験館)の料理体験でした。メニューはゴーヤーチャンプルー,ジューシー,もずくの天ぷら,海ぶどう,アーサー汁,サーターアンダギーと盛りだくさん。食材を切ったり,炒めたり,丸めたり,揚げたりと指示にしたがって進めていくと,いつの間にか出来上がっていました。自分たちで作って食べる沖縄料理は最高でした!やまちゃん,さやねーねー,ありがとうございました!


午後は平和学習に戻りました。まずは,佐喜眞美術館を訪れました。この美術館は,館長の佐喜眞道夫さんが画家の丸木位里・俊夫妻が描いた「沖縄戦の図」を展示するために建てたものですが,その場所は先祖代々のお墓と土地をアメリカ軍と直接交渉することによって返還が実現したという歴史があります。まずは,「沖縄戦の図」に込められた思いを解説していただき,その後,屋上に上がって普天間基地を眺めながら,沖縄が抱えている基地問題について考えるきっかけをいただきました。沖縄の問題は沖縄だけではなく,日本全体で考えなくてはいけない大切な問題だと感じました。


次に,嘉数高台公園を訪れました。ここは沖縄戦で旧日本軍が米軍と激しい攻防戦を繰り広げた激戦地で,多くの京都出身者がここで亡くなられました。全員で黙祷を捧げたのち,展望台に上がり那覇市や浦添市の街並みを見たり,普天間基地のようすを見たりしました。前日に宿泊した読谷村も眺めることができました。


この日の最後のプログラムとして,上地牧師様の首里教会をお借りして祈りの集いを行いました。1日目から3日目までのプログラムの振り返りを代表生徒が語り,それぞれの間に聖歌「すべての人の平和を」を歌いました。そして,代表生徒が作成した平和宣言が読み上げられ,参加生徒全員で平和をつくる人となることを誓いました。最後に全員で「いのちのリレー」を歌い,祈りの集いが終わりました。
ここで3日間ガイドをしてくださった上地牧師様とはお別れです。「戦争のない世界をつくるためにもっとも大切なことは平和学習です」という言葉が印象的でした。いまも世界ではウクライナやガザなどでたくさんの戦争や紛争が続いていますが,私たちがまず知ることが平和へ繫がることを教えていただきました。上地牧師様,大変お世話になりました。
4日目は最終日で,国際通りで自由行動でした。これまでの緊張感から解き放たれたようにリラックスしてしばしの自由を楽しみました。


平和宣言
私たちは平和学習の初めに鳥井牧師様との時間を通して、「物事を多角的に見ること」「沖縄と本土を比較してみること」「人の意見を聞き、自分の思いを言葉にすること」といった大切な学びのポイントを教えていただき、沖縄事前学習をスタートさせました。事前学習では7班に分かれ、琉球時代、沖縄戦、戦後の沖縄に加えて、文化、芸術などをそれぞれに調べ、お互いに発表し合って、知識を深めてきました。そして今回、学びの集大成として「沖縄を見る・聞く・感じる ~ぬちどぅ宝の島~」というテーマのもと、沖縄へやってきました。現地に行けばどんな発見があるだろうと楽しみに出発しましたが、修学旅行がスタートしてから今日までの3日間はあっという間で、想像以上に学びの多い貴重な時間になりました。
私自身は「沖縄戦」について調べていたこともあり一番興味を持っていたのは平和祈念資料館でした。実際に訪れてみて、沖縄戦の痛ましい写真や、証言の展示を見て衝撃を受けました。そして、その後に行った糸数壕での体験では、こんなに暗い壕の中で、どれほど辛い思いをされていたのだろうと思い、胸が苦しくなりました。そのしんどさも想像以上でした。心から「戦争なんて反対だ!」と思いながら、なぜこんなにも心が痛むのかと考えてみると、「戦争では命が軽く扱われる」ことを知ったからではないかと思い至りました。これまで調べ学習で、本などから沖縄についての知識を吸収して、少しずつ沖縄のことを自分たちの身近に感じるようになり,実際に「沖縄を見て・聞いて・感じた」ことで、人の命が簡単に奪われる危機に立たされる恐怖を少しでも想像できるようになったから、心が痛んだのではないかと思います。
平和祈念資料館やガマでは、命が軽く扱われるのが戦争の仕業であることを知り、戦争のせいで目を覆いたくなる地獄のような状況から逃れられなくなることを知りました。そうであるならば、私たちが平和をつくり出すためには、「命が重く、大切なものとして扱うべき」ではないかと考えました。「ぬちどぅ宝」「命こそ宝」という言葉のように、私たちは「命は重いもの」だとわかっているから、一人ひとりを大切にしたいと思います。過去を見ないようにして、今の楽しさを優先するのは簡単で楽なことかもしれませんが、それで本当にいいのかと問いかけて立ち止まる必要があると考えます。戦争を生きた人々がいるから、私たちは今、平和な日々が送れています。だからこそこの平和を続けるために、まずは目の前の相手と本音で話すこと、たくさんコミュニケーションをとること、思いやりの心を大切にして寄り添うことから始めたいと思います。
今のネット社会では、簡単に匿名で人を誹謗中傷して人を死に追いやってしまうことがありますが、それこそ対話もなく決めつけで、命を軽く見ていることの結果だと思います。だから、私たちは時代が変わっても、直接対話をすることを大切にしたいと思います。 明日で修学旅行は終わりますが、自分たちが丹後に帰ってからも、自分の目で見ること、耳で聞くこと、心で知ることを大切にして、微力ではありますが、たくさんの人と関わることで平和をつくる人となることを誓い、私たちの平和宣言とします。
2025年3月8日 京都暁星高等学校 代表生徒