2015年度年度入学式

2015年度 入学式が挙行されました。

◆入学式次第

  1. 開式の辞
  2. 聖書の朗読
  3. 入学許可
  4. 入学宣誓
  5. 校長式辞
  6. 来賓祝辞
  7. 在校生代表歓迎の辞
  8. 聖歌斉唱
  9. 校歌斉唱
  10. 閉式の辞

聖 書 (マタイ 第7章7~12)

 求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。まして、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない。だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。

 

 

 


◆式辞

今年の冬は、積雪は少なかったものの、山陰独特の氷雨が毎日のように降り、底冷えする厳しい冬でした。しかし立春を過ぎると、どことなく空にも山にも大地にも水の中にも冬枯れから緩やかな春のおとずれの気配を感じさせてくれました。そして三月末暖かな光をうけて、一斉にその時を待っていたかのように、桜や雪柳が咲き始めました。冬が去り、春が来るこの当たり前な自然の営みをいっぱい感じる学び舎で、また新しい歴史の1ページが開かれることに感謝の気持ちでいっぱいです。さて本日85名の新入生を迎え、入学式を挙行できますことは本当に感謝です。本校のキャッチフレーズ「一人一人と向き合う教育」の精神を心にとめて、皆さんと共にスタートするためにも、初めて入学前にみなさんひとりひとりと面接してきました。40分ずつゆっくり話しながら、この学校への希望と不安など、率直にまた誠実に話してくれるみんなのあり方にふれて、その姿勢にこちらが励まされました。

 さて本校は、今年創立108年目を迎えます。創立者ルラーブ神父は、自分の人生のすべてを捧げて、キリストの愛を伝えようと、1885年(明治18年)フランスから日本に来られました。28才の時でした。3年間京都で日本語を学び、31才の時、山陰地方で宣教するように言われ、福井・小浜・舞鶴を経て宮津に来られたのです。丹後でたった一人の外国人として、この地の気候風土・衣食住の生活習慣・考え方の全く違う環境の中で生活されるだけでも、どれほどの苦労があっただろうかと思います。

 そして1907年、当時の宮津町長の要請もあり、ルラーブ神父50才の時、宮津教会の敷地内に裁縫伝習所を開かれました。丹後各地を歩かれた神父は、女子教育の必要性を実感し、またこの地への限りない愛、人間の力を超える神の計らいと多くの人々の支援があったと感じずにはいられません。

 今日から皆さんはいよいよこの学び舎での新しい出会いと体験が始まります。そしてその主人公は、君たち一人一人です。みなさんが3年後にここを巣立っていく時、良かったと思えるようになるためには、君たちの前向きな姿勢と、その成長を助ける先生と保護者の皆さんの協力がいるのです。今日は3つのことを伝えたいと思います。

(一つ目)先ほど朗読された聖書の箇所は、皆さんの中学校の卒業式のメッセージとして送らせていただきました。

    求めなさい  そうすれば与えられる

    探しなさい  そうすれば見つかる

    たたきなさい そうすれば開かれる

 みんなもこの学校の新しい環境の中で、何か自分の気持ちや、隠れた可能性を引き出してみたいと感じたから選んだのではないでしょうか。昨年の体験授業、在校生や卒業生たちからのメッセージ、学校クリスマスなどを通して、今まで味わったことのない雰囲気に自分もこの学び舎で可能性が引き出されるのではないか?と思ってくれたらとしたら、とてもうれしいです。でもそのためにはよく聞いて下さい。わからなければ、質問してください。知りたい、わかりたい、やってみたいと望み、求めてください。勇気をもって、何度も求めてください。しつこく求めてください。私たちも何度もみなさんの心のとびらをたたきます。たたき続けます。昨年度三年生の黙想会指導に来てくださった神父様が「人間は教育されてはじめて人間になる。」と言われました。ここでの三年間、とにかく挑戦していきましょう。

(2つ目)信頼する心、私たちが本当に成長する時に大切なことは、信頼することです。心理学者であり、教育学者だった河合隼雄先生のお話しの中に、小学生に一粒ずつ朝顔の種を与え、植木鉢に種をまき、子供達は毎朝水をやり、日当たりの良い場所に置き、双葉が出、つるが伸び、葉っぱが出て、誰の朝顔が一番早く咲くか、次第に競争になり、学校に来ると、一斉にみんな植木鉢の周りに集まってくるようになったそうです。ある日もっとも威勢良く伸びていた朝顔の葉っぱとつるが、くにゃとなって、しおれかけているのです。「どうしたのか?」と聞くと、「早く伸びるようにひっぱったんだ」と半泣きになりながら答えたそうです。すぐに結果を求められる風潮があるかもしれませんが、やるだけやったら待つことが大切なのです。私達は、忍耐強くこつこつと勉強を続けた時、結果はついてくるのです。「地道にこつこつ」です。どうぞみんなも、保護者の皆さんも、信頼して待つことを大事にして下さるよう、お願いします。

(3つ目)教皇フランシスコは就任して2年目になられますが、昨年8月若者のネット漬けについて、「進歩した技術は時に本当に大事なことから注意をそらしてしまう。」とコメントされています。携帯・スマホ・アイポッド・タブレットなど多種多様な電子機器が出ています。電車に乗ると、多くの学生、そして大人も小さな画面に釘付けです。まわりの風景を見ることなく、また隣に座っている人と話すこともなく、人間から言葉が奪われてしまったようです。人と人とが挨拶をかわすこともなく、お互いの安否を尋ねあうわけでなく、人間不在の文明社会が当たり前になってきたようです。瞬時にして、世界の情報をキャッチし、またすべての質問に答えてくれる情報がインプットされたコンピューターの世界に不安を感じます。機械に使われる人間になっていませんか。ゆっくり物事を考えたり、身体を動かし、汗を流すことを忘れていませんか。この学校は君たちにたくさんのチャンスを与えます。どうぞチャレンジして下さい。そして今まで気づかなかったことに気づき、知らなかったことを知って下さい。チャレンジを通して、みんながチェンジしていくことを希望します。  

最後になりましたが、この喜びの日に御臨席賜りましたご来賓の皆様に高いところからではありますが、御礼申し上げます。年度初めの何かとお忙しい中、本校の入学式の時をご一緒いただき、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。式辞の中ですでにお話しさせていただきましたが、本校は各教科の授業を通して、知識を伝えていくことはもちろんですが、生徒たちの心を育てることを大事にしています。生きていく上で、人間として大切なこと、物事を判断し選びとる力と勇気をすべての教育活動を通して伝え続けたいと考えています。そのために、保護者の皆様の御理解とご協力がなければ育てることはできません。親・子供・教師が共に育つことを目指したいと願っています。なにとぞよろしくお願い致します。

これをもちまして、入学式の式辞といたします。

2015年4月9日
 京都暁星高等学校長  玉手 健裕


◆宣誓

 春の息吹が感じられ、暖かな日差しが心地よいこの良き日、私たち85名は京都暁星高等学校の入学を迎えることができました。本日はこのような盛大な式を挙行していただき、心から感謝いたします。

 今日、新しい制服を着て、私たちは期待と希望を胸に高校生活をスタートします。

 先月、私たちは9年間という義務教育を終えました。これまで決まった小学校、中学校に通い、周囲の人と合わせて過ごしてきた生活とは違い、高校生になるために、私たちは人生で初めての進路選択という大きな決断をしました。進路選択をするにあたって私は夏の体験入学で様々な高校を見学しました。暁星高校を見学した際、校内の雰囲気が良く、授業も受け易く、楽しかった事と、少人数制で一人ひとりが先生と接する機会が多く、学習面での成長も出来ると思い、暁星高校を志望しました。普段考えたことがなかった自分の将来について考え、本当にこれでいいのだろうかと悩み、自分自身と向き合う時間を経て、私たちは今ここに立っています。入学が決まった春休み、校長先生との個人面接が私たち全員にありました。50分間の面接の中で、私自身のことを丁寧に聴いていただくことができました。「一人ひとりと向かい合う学びの場」が始まっていると感じました。今日から始まる高校3年間、今の気持ちを忘れず、日々の勉強に励み、学力を付けると共に、内面的に成長し、心の豊かな人間になれるよう、毎日努力していきたいと思います。

 また、暁星高校独自の取り組みであるクリスマスやウォーカソン、語学研修などを通して、積極性や協調性を身に付け、更に仲間と支え合い、高め合える信頼関係を築き、友情を育みたいです。

 校長先生を始め、諸先生方、そして先輩方には、温かく厳しい指導をお願い申し上げます。私たち新入生一同は、校訓である「自尊自知自制」の言葉を胸に、勉強や様々な学校行事に精一杯務め、京都暁星高等学校の生徒として誇りを持ち、その名に恥じることのないように実りある高校生活を送ることを誓います。

2015年4月9日
 新入生代表


◆歓迎の辞

 土筆が頭をもたげ、春風の福季節となりました。暁星高校へ入学される新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお喜び申し上げます。

 皆さんは義務教育を終え、「暁星で学ぶのだ。」と自分の意志でこの学校を選び、そして「今までとは違う環境の中で上手くやっていけるのだろうか。」という不安な気持ちを胸に、今日臨まれていることと思います。私も入学当初、緊張した面持ちで席に着いていたことを思い出します。

 暁星高校でのこれから始まる慣れないバスでの通学や、「祈り・美化・学習」という暁星の三本柱に基づいて行われる朝終礼でのお祈りや、月に一度のミサ、生徒も先生も白い割烹着を着て行う掃除など、今までの生活とは全く違った新しい生活の様々な場面に、誰でも最初は戸惑うことがあると思います。私自身、「なぜこんなことをするんだろう」と考えても意味が分からず、不思議に思ったり甘く考えたりした事もありました。しかし、それらに誠実に真直ぐ向き合うことで少しずつその意味が分かってきて、受け入れることができました。もし、自分で考えても分からない時は、先生や先輩方に遠慮なく聞いてください。きっと親身になって相談に乗ってくれることと思います。

 そして、暁星高校は色々なチャンスを与えてくれます。まず、あさってから始まるオリエンテーション合宿は、新たな出会いのチャンスです。皆さん緊張しておられることと思いますが、勇気を出して色んな人と話し、これから三年間を共に過ごす仲間との輪を広げて下さい。また、暁星高校では三年間を通して様々な行事があります。全校を上げて行う暁星高校独自の行事として、フィリピン支援や東北支援のためのウォーカソンや学校クリスマスがあります。学校クリスマスでは係別で自分の労力を差し出し、皆で盛大なものにします。体験学習としては、一年次のニュージーランド研修や二年次のフィリピン研修、沖縄修学旅行などがあります。これらのどの活動でも、暁星は事前学習を大切にしており、その上で実際に現地へ行き、五感をフルに使って学びます。何かをする過程は辛いこともあると思いますが、そこで一生懸命取り組んだ分だけ、その後に得られるものも大きくなると思いますので、今日出会い、これから一緒に歩む仲間を大切に、ぜひ何事も前向きにチャレンジしてくれたらと思います。

 また、これらの行事だけでなく、日々の生活の中での委員会活動や部活、ボランティアなどでも、学年という垣根を越えて行う活動がたくさんあり、人と接していく中で気付くことや考えること、様々な方からのお話を頂いて自分の思いを深めることなど、今、この暁星だからこそ学べることがたくさんあると思います。このような機会を一つひとつ自分の糧として、大きく成長していって下さい。

 今日から皆さんは、暁星高校の生徒の一人です。良い友人、頼れる先生、親身になってくれる先輩を見つけ、お互いを高め合いながら多くのことを吸収し、充実感や達成感といった本当の楽しさを見つけ、私たちや在校生や先生方と一緒に充実した学校生活を送りましょう。

2015年4月9日
 在校生代表

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