2021年度入学式が挙行されました。

 4月9日(金)に新入生41名を迎えて入学式が挙行されました。桜のピークは過ぎてしまいましたが,当日は爽やかな晴天の中,厳粛に執り行われました。

 
<3月末頃の満開の桜>

 
<入学式当日のようす>

学校長式辞

 世界中に拡がる新型コロナウィルスによって、混乱と不安の中にいる人々のために祈りたいと思います。私たちも毎日落ち着かない、色々と神経を使わなければならない日々が続いていますが、3月にもなると、全く沈黙していた木々に、新芽の兆しを見つけ、草花も、土をはねのけて、みずみずしい双葉が顔を出し、生命力を感じさせてくれます。長い間厳しい寒さの中、忍耐強く、自分の時が来るのを待っているのです。自然の秩序正しい営みの前に思わず頭をさげ、神への畏敬の念にかられます。そんな中、縮小した形ではありますが、このように入学式が挙行できますこと、本当に感謝です。そして来賓として谷口神父様、PTA会長の齋藤様が出席くださり、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 さて、新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。本校は、キリスト教の愛の精神を基盤にしたカトリック・ミッションスクールです。

 明治・大正・昭和・平成・令和と時は移り変わり、今年114年目を迎えました。この学校は、明治40年にフランス人の宣教師ルイ・ルラーブ神父によって、宮津市内にあるカトリック宮津教会の敷地内に誕生しました。そしてルラーブ神父は、56年間一度も祖国フランスに帰られることなく、この丹後の地を愛し、全生涯を女子教育に注がれました。その精神はその後、多くの方々の支えと援助の中で、受け継がれてきました。そして今、ここ獅子崎の地で、男女共学、京都暁星の19年目を迎えているのです。この地での教育も、平成・令和のこの時代丹後の地に人間教育を掲げ、大事な事を伝えていきなさいと創立者からエールを頂いていると感じています。さまざまな価値観がある中で、皆さんは暁星を選びました。これからの3年間の学校生活を通して、この学校の校風の中で学び、暁星精神を体で感じてください。人と出会う、言葉に出会う、できごとに目を開き、自分たちが生きている世界に目を開き、かかわり、そこで感じることを大切にすることによって、ほんとうの生き方に気づかされていくのです。先ほど朗読された聖書の箇所は、皆さんの中学校の卒業式にメッセージとして送らせていただきました。

求めなさい。そうすれば与えられる。

探しなさい。そうすれば見つかる。

たたきなさい。そうすれば開かれる。

 大切なことは、求めること、知りたい、わかりたいと望むこと。そのためにはまず一歩歩みだすことです。山に登るとき、山の上に立てば見晴らしがよくて、美しい景色を見ることができるだろうと想像できますが、その希望をかなえるには、まず一歩そしてまた一歩と歩くことです。狭い道があったり、石ころがいっぱいあったり、急な坂があったり、およそ思っていた景色は見えないかもしれませんが、あるところまで行くと視界が広がり、美しい景色が広がっていくのです。自分で何かをするための合い言葉は、「今日」「今から」です。いったん動き出したら、慣性の法則で、エネルギーは少なくてすむのです。電車や飛行機などと同じです。スタートに最もエネルギーを使いますが、さあ今日から一歩をふみ出しましょう。これから始まる暁星での高校生活は、今までの中学校生活とは違うということを飲み込んで下さい。日々の祈り・学習・掃除、また年間行事やさまざまな体験を通して、体感していくことになるのです。自然に囲まれた暁星です。環境が整っていると、心が落ち着きます。また小規模の学校ですから、先輩との出会いも生まれるでしょう。みんなが望めば、先生方は、個人指導をしてくださいます。3月26日の学習登校日で体感したでしょう。わからないことは、わかりませんと質問して下さい。このように暁星に来たことをチャンスにし、さまざまな学びにチャレンジし、大きくチェンジしていきましょう。

 最後になりましたが、保護者の皆様にひとことご挨拶申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。式辞の中ですでにお話しさせていただきましたが、本校は各教科の授業を通して知識を伝えていくことはもちろんですが、生徒たちの心を育てることを大事にしています。生きていく上で、人間として大切なこと、物事を選びとり、また具体的に動いていけるようにという願いを持って、教育活動を通して伝え続けたいと考えています。そのためにこの学校の願いを理解してくださり、信頼を持ってご相談ください。親・子供・学校が信頼の中で共に歩み育つことを目指したいと願います。なにとぞよろしくお願いいたします。

これをもちまして、2021年度入学式の式辞といたします。 

           2021年4月9日

京都暁星高等学校長  玉 手 健 裕

来賓祝辞(レデンプトール会 谷口秀夫神父様)

 新入生の皆さん、京都暁星高等学校ご入学おめでとうございます。皆さんは、とても特色のある高等学校に入学されたのです。それは暁星高校がカトリック校だということです。京都府下の幾多ある高等学校の中で、カトリック学校はほんの僅かです。ここでは意味は分からなくても、「カトリック」という言葉だけを憶えてください。キリスト教の中でもカトリックはとても古くて、そのルーツは二千年前、キリストの直弟子であった「ペトロ」という人物にまで遡ります。このルーツをとても大事にしているのがカトリックです。そしてその表れが、「フランシスコ」と言う名前の、いつも白い服を着ている八十過ぎのおじいちゃんです。この人は「教皇」と言われてまして、普段はローマにいます。世界に対して一定の発言力を持っている人です。ときどきテレビのニュースに出たり、新聞の国際面に出ていたりしますので、見つけたら、その人は皆さんとは無関係な人ではない、私の学校につながっている人なのだと言うことを覚えておいてください。一昨年、日本にもきました。

 さて暁星高校の第二の特徴は、木造平屋建ての、小さな学校で、静かな学び舎であるということです。二階・三階建ての普通の高校と比べたら、およそ高校らしくない校舎です。そして多くの方は、このことに驚かれ、好感を持って下さいます。その環境は、特にコミュニケーションの苦手な人にとっては、親しみの持てる、とても優しい空間となっています。この学校は、空間的にも、皆さん一人ひとりを優しく包み込んでくれるでしょう。どうかこの小さくて静かな学び舎で、世界を見る広い視野を存分に培ってください。

 第三の特徴は、清掃が行き届いているということです。人間教育に欠かせない要素として、丁寧な清掃ということを心がけています。清掃は地味で目立たない行為ですが、今後千年続けても色あせない日本人の教育実践だと、私は思っています。

 次に暁星高校では入学式の度に、「聖書」と言う書物の中から、こんな言葉が繰り返し読まれてきました。「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門を叩きなさい。そうすれば開かれる。」求め、探し、門をたたけば、誰でも求めていたものは得られるという確信です。努力したのに、何も得られなかったと言う事はあり得ない。若い皆さんならなおさら、何かを得ることができるでしょう。しかしその前に、皆さんは、何を求めるのか、何を志すのかがきちんとわかっていなければなりません。これから始まる高校生活で、皆さんは、自分が何を求めているのかを考えながら過ごしてください。ただし皆さん、求めるものは大きい方がいいです。大きなものを求めて下さい。簡単に得られるもの、容易に達成できるものを目標にしては、つまらないです。自分までつまらなくなります。そして大きな目標を目指すために、まずは自分自身をもっと高く評価してください。皆さんは、何らかの才能を持っています。それも一つや二つではありません。いくつも持っています。でも、それは埋もれています。ご両親も、これまで関わった先生方も、そして自分自身も気づかないでいた未知の才能がある。多くの人々はそれらのいずれも発見できないで人生を終えてしまうのです。しかし幸運にも「私が求めていたものはコレだ」というものに出逢ったなら、それはすばらしいことです。今後はそれを達成できるよう、願い続けて下さい。心を尽くし、思いを尽くし、精神を尽くして願い続けてください。願いに願い続けてください。皆さんの願いが深く、長く続けば、頭と体はそれに向かって自然に動き始めます。三年後、皆さんは、その願いによって自分が生かされてきたことに気付くでしょう。その願いによって自分が成長したことに気付くでしょう。そうなれば叶えられたも同然です。それが、「求めなさい。探しなさい。叩きなさい。そうすれば得られる」の意味です。何を願うか、そしてどれだけ深く強く願うか。まずはこれだけで皆さんの人生は変わります。そして結果はついて来ます。皆さん、これは重大なポイントです。

 最後にもう一つ言わせてください。それは三年間の高校生活だけでなく、人生全体に言えることです。それは「失敗を怖れるな」です。むしろ「どんどん失敗しなさい」と言いたいぐらいです。ただし言っておきます。失敗と挫折は違います。失敗して再びチャレンジするのを諦めたとき、失敗は挫折に変わります。失敗から学ぶ努力を続けるなら、失敗は若い皆さんにとって無限に成長していくための栄養素になります。残念ながら、多くの人は失敗を極度に怖れるので、実にこぢんまりとした生き方をしています。そういう意味では、昨今の日本人もつまらなくなったなと思います。どうか、この三年間、何かに心を熱くして、高校生活に取り組んでください。

 ご入学、おめでとうございます。

在校生代表歓迎の言葉

 京都暁星高等学校に入学される新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお喜び申し上げます。

 今、皆さんは緊張と共に新しい生活への期待と不安で、胸が一杯のことと思います。義務教育を終え、自分の足で歩いていかなければならない不安と、新しい出会いへの喜びを胸にした今の皆さんと同じように、私たちも二年前、緊張した面持ちで咳に着いていたことを思い出します。実際、暁星高校での生活は、これまでの中学校とは全く違った新しい学校生活です。毎日お祈りや、毎週開かれる定例会、割烹着をつけての掃除など、最初は慣れず、戸惑うことが多くあると思います。時には反発したくなることもあるかもしれません。しかし、それは私たちも同じように経験してきました。分からないことや疑問があるときは、どうか遠慮せずその意味を、皆さんの後ろに座っている先輩や、先生方に尋ねてみてください。特に先輩は皆、新しくできた後輩に頼られることをうれしく思い、丁寧に教えてくれると思います。

 これからの生活の中で、新入生の皆さんに大切にしてほしいことが、二つあります。一つ目は、声に出して伝えることです。分からない事や、不思議に思った事や、気になる事は、勇気を出して声に出して聞いてみて下さい。教えてくれない人なんて誰もいません。「ありがとう」「ごめんなさい」「お疲れ様」、日常生活の中でこそ、仲間へ声に出して気持ちを伝えてください。このコロナウィルスの影響の中で、面と向かって相手に伝えることについて、抵抗を感じるかもしれません。しかし、こんな状況だからこそ、仲間を想いやってほしいのです。二つ目は、挑戦することです。暁星高校には、ボランティアや体験プログラムなど、多くの成長の種があります。ぜひ、積極的に挑戦して、様々な活動を通して自分を成長させてください。また、継続することを忘れずに取り組んでください。言葉にすると簡単ですが、実際やってみると、とても難しいことです。しかし、継続することは、自分への挑戦です。ぜひ、今の自分に打ち勝って、新しい自分に出会ってください。声に出して伝えること、挑戦することを心の中心に置いて、思い出して、これからの学校生活を充実させてほしいと思います。

 今皆さんをたとえると、真っ白なキャンバスです。そこに仲間や先輩から色をもらい、素敵な絵を描いてください。時には黒や灰色で塗り潰してしまうこともあるかもしれません。しかし、また上から重ねて塗っていけばよいと思います。そして、三年間で素敵な絵を完成させてください。今こうして、皆さんとの新しい出会いができたこと、これから共に学校生活を送ることができることを、本当にうれしく思います。暁星でしかできない経験や、一生に一度しかない高校生活を存分に味わって下さい。感謝と挑戦を忘れずに、三年間を実りあるものにしてください。私たちと一緒に、京都暁星高校の新しい一ページを描いていきましょう。

 
3年生の先輩たちが新入生のために黒板アートで歓迎しました。

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