濱口一則さん 講演会が行われました。

 ウォーカソンを1週間前に控えた11月13日(金)の午後に講演会が行われました。日本カトリック司教協議会復興支援室の濱口一則さんをお招きして,「福島の現実 〜複雑化した現状をどう伝えるか?〜」というタイトルで講演をしていただきました。

 

 東北のカリタスベースのマネジメントをされている濱口さんが見てこられた福島の現状と福島の方が抱えている不安や苦悩を私たちにわかりやすく伝えていただきました。また,原発は福島だけの問題ではなく,私たちの住む宮津近くの若狭地域にも同じ問題があるというお話もいただきました。1時間という短い時間でしたが,複雑化する福島の現状を知り,原発問題について今後考えるべき視点をいただく貴重な時間となりました。

生徒の感想

 自分は今まで福島の事故のことは知っていましたが,具体的には知らなかったことが今日の話で詳しくわかりました。まず,原発が「トイレのないマンション」と言われていたように,長い年月をかけないと放射能が弱まらないとんでもないものなんだなとわかりました。そして,その放射能のせいで手つかずのままの家がたくさんあり,そこに帰りたくても帰れない人や,帰宅するかどうかは自分の判断に任せるような言い方をされた人たちがかわいそうだと思いました。あと,福島の人が事故のせいで差別を受けることがあるというのは初めて知りました。また,福島の食べ物は汚染されているからという理由で買ってくれないために,生産者の人たちが努力しているということを知りました。この事故は決して他人事じゃなく,今の福島の現状を知る人が一人でも多く増えることが大事だと思ったし,もし自分が被害にあったらと考えたら自分達が忘れられるのは悲しいので,今も悲しんでいる人達がいるということを忘れないことが大切だと思いました。(1年男子)

 とても貴重なお話でした。実際,今回講演してくださるまでは,福島県に対して偏見を持っていた部分が少しあったのかなと感じました。「危ない」「汚染されている」などあまり良いイメージはありませんでしたが,今回濱口さんが話してくださった一つ一つのことが,初めて聞く内容で今は本当に福島県の方に申し訳ない気持ちでいっぱいです。講演の中で何度か出てきた「岩手県釜石」に私も今年の夏に足を運ばせていただきました。やはり,現地の方は「頭の片隅でもいいから忘れないでほしい」ということを私たちに伝えてくださいました。濱口さんが今日おっしゃっていたように,絶対忘れてはいけないということが本当に胸に刻まれました。そして,それは行動を起こしていかなければいけないということも教えていただきました。差別やお金だったり,たくさんの問題や苦しみを抱えながら,今も一生懸命生きてらっしゃる,頑張ってらっしゃる人がいるということを胸に,これからの世代にも私のように偏見を持っている人がいるならば,今日の講演の内容を伝えていきたいと思います。(2年女子)

 私は去年東北のボランティアに行き,一つの地域の現状を見てきました。やはり,3年,4年と経つとガレキもある程度片付き,町も復興して活気づいている所もありました。しかし,私たちがボランティアで行っていない,福島県の現状を今日教えていただくと,想像以上に悲惨というか混沌としているというか,人々の気持ちはまだまだ震災当時のままなんだと気づきました。初めて知った事の方が多かったのですが,一番驚いたことは同じ福島県,同じ地域の中でさえ,いがみ合いがあるということでした。補償金の問題でいがみ合ったり,果ては家族の中でさえ分裂が生じているなんて考えたこともなく,とても平和とはいえない状況だと思いました。田舎だから人口が少ないからという理由だけで,原発はつくられていますが,最後のスライドに書いてあったように,沖縄の問題とも通じるものがあるんだと気づきました。正直言うと,私自身の記憶の中の震災も少しずつ風化していっているのは事実です。どこか遠い昔の話しのように考えてしまっていましたが,実際はそんなことはないんだと,まだまだ問題は山積みで,この原発も福島県自体の問題もずっと続いていく大きな問題だと気づかされました。私は今まで,ただマスメディアの情報のみの知識で,政府だけに責任があるものだと思っていました。しかし,その考えに少し違う角度のことを教えていただきました。それは,「自分」にも責任があるとおっしゃったことです。そして,自分自身の行動を振り返ってみました。私は家で少し何か我慢しただろうか,そう考えると恥ずかしくなってきました。また,とにかく一つに絞れるほど単純な話ではないということ,そしてずっと考え続けていかなければならないことだということが分かりました。考えに考えた上で実行に移すこと,それがずっと必要なんだなと思いました。今すぐには答えは出ませんが,自分の生活には生かすことができそうです。ずっと忘れないでおきたいと思います。(3年女子)

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