寒い日が長く続いた春でしたが、この日を待ちわびていたかのように桜が満開になり、本日30名の新入生を迎え、無事入学式を終えることが出来ました。早速明日から3日間、マリーンピアでオリエンテーションを行います。3年間共に過ごす仲間と出会い、暁星高校を知り、学習の仕方を学ぶ3日間になります。義務教育を終え、暁星高校に来た目的を再確認し、新たな気持ちで取り組んでいきましょう。共に過ごせることを教職員、生徒一同嬉しく思っています。
入学式 式辞
長い冬、山陰独特の鉛色の冬景色を見ていると、心も閉ざされて、命踊る春の訪れを忘れてしまうほどでした。しかし、春は静かに自分の出番を待って、命を育んでいました。校舎を一巡すると、木々に新芽が膨らみ、地に目を移すと鮮明で瑞々しい緑の葉が力強く顔を出しています。この自然の命の営みに希望を感じます。
さて、本日ここに新入生30名を迎え、2025年度の入学式を挙行できますことを大変うれしく思います。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
本校は木造平屋建て、木々に囲まれ、緑の庭と吹き抜ける風。耳を澄ませば、野鳥の声が聞こえます。人間と自然の共生、その落ち着いた雰囲気は生徒の心を穏やかに整え、先生と生徒がお互いに向き合い、寄り添う教育の中で、それぞれの個性と能力が引き出され、身を結んでいく場になって欲しいと願っています。
本校は京都北部、丹後地域唯一の私立学校、キリスト教の愛の精神を基盤にしたカトリックミッションスクールです。明治・大正・昭和・平成・令和と、時は移り変わり、今年創立118年目の時を刻み始めています。この学校は明治40年にフランス人の宣教師ルイ・ルラーブ神父によって、宮津市内にある国の重要文化財に指定されているカトリック宮津教会の敷地内に誕生しました。
ルラーブ神父は56年間一度も祖国フランスに帰られることなく、この丹後の地を愛し、神の愛を伝え、全生涯を女子教育に注がれました。「まじめ、まっすぐ」という暁星精神はその後シスター方・神父様方、数多くの先生方の支えと援助の中で受け継がれてきました。そして今、この地で男女共学23年目を迎えているのです。共学になっても時代が変わっても「まじめ、まっすぐ」の伝統は一人ひとりと向き合う教育の在り方を通して、しっかり根付いてきています。
皆さんは色々な選びがある中で、暁星を選びました。これから始まる暁星での高校生活は今までの中学校生活と違うということを受け取って下さい。皆さんは何度かこの学校に来られ、上級生の様子を見られたでしょう。一人ひとりの生徒を丁寧に大事に育てたいという願いから、先生方は生徒と共に歩みます。すでに3月25日の学習登校日から「一人ひとりと向き合う教育」が始まっているのです。これから毎日、鐘の音を聞きながら朝の祈りが始まります。担任の先生と顔を合わせ、連絡事項が伝えられます。6時間の授業が終わると掃除、各場所に分かれ、上級生の指導の下、もくもくと掃除が始まります。この校舎が建ってから22年が経ちましたが、きれいです。物を大切にすることを学びます。放課後になると7限の授業。学習会、個別指導、クラブ、面接などがあり、先生方との密な関わりが生まれます。また、情報機器の浸透によって、人と人とのコミュニケーション能力がなくなりつつある現実を踏まえ、文化祭・体育祭・クリスマスなどの行事の取り組みでは、クラスでまた縦割りのグループで、上級生や下級生が入り混じって計画を立て、取り組むことを通して、人間関係の豊かさを身に付けていきます。先程朗読された聖書の箇所は皆さんの中学校の卒業式にメッセージとして贈らせていただきました。「求めなさい、そうすれば与えられる。探しなさい、そうすれば見つかる。たたきなさい、そうすれば開かれる。」大切なことは自分から求めること。知りたい。わかりたいと望み、一歩を踏み出すことです。戸惑いや不安や緊張もあるでしょう。でも今日という一日を、担任の先生や教科の先生方に信頼してゆっくり歩んでいきましょう。皆さんは新しい大地にまかれた種です。何の種かわかりませんが、芽を出し、大きく育っていくように希望を持ってください。私たちは水をまき、雑草を抜き、太陽の光が当たるように協力します。聖書の言葉や宗教の時間を通して、今までとは違う価値観にも出会ってください。お互いを大事にしましょう。支え合い、助け合っていきましょう。苦しんでいる人、傷んでいる人のそばに立ち、手を差し伸べ、一緒に歩んでいきましょう。それこそが愛なのです。さあみなさんが主人公です。今日から一歩を踏み出しましょう。4月8日という日は繰り返されていますが、2025年4月8日はもう二度とありません。今日だけです。その日との出会い、その人との出会い、その出来事との出会いなど、一日一日新しい心で出会ってほしいと思います。この学校でのチャンスを様々な学びやチャレンジを通して、みんながチェンジしていくことを希望します
最後になりましたが、この喜びの日にご臨席賜りましたご来賓の皆様に、高いところからではありますが、お礼申し上げます。年度初めのお何かとお忙しい中、本校の入学式の時をご一緒いただき、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。式辞の中ですでにお話させていただきましたが、本校は各教科の授業を通して知識を伝えていくことはもちろんですが、生徒達の心を育てることを大事にしています。生きていく上で、人間として大切なこと、物事を判断し選び取る力と勇気を、全ての教育活動を通して伝え続けたいと考えています。そのために保護者の皆様のご理解とご協力がなければ育てることはできません。親・子ども・教師が共に育つことを目指したいと願っています。何卒よろしくお願いいたします。
これを持ちまして2025年度入学式の式辞といたします。


