卒業式 挙行

2月23日(土) 卒業式が挙行されました。

学校長 式辞

 2018年度が終わろうとしていますが、この一年を通じて地球温暖化による影響が具体的に出てきた結果なのだろうかと思うほど、自然現象の変化を実感する一年でした。7月初めの集中豪雨によって、本校の近く、丹後鉄道線路下の土砂崩れ、伊根に向かう道路の土砂崩れがありました。やっと修復できたかと思うと、又台風、集中豪雨と自然現象に振りまわされ、今までこのような年を経験したことがありませんでした。

 秋には、天皇の生前退位の報道が流れ、平成最後の年になりました。一つひとつの行事に平成最後とアナウンスされ、おまけにその最後の年に私自身文部科学大臣賞を頂くことになり、陛下にお会いするチャンスを頂きました。この意味でも2018年は忘れられない年になりました。

 さて、三年生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。君たちは、平成最後の卒業生として深く記憶に刻まれることでしょう。

 今日読まれた聖書の箇所はマタイによる福音書6章24節から34節、「思いわずらうな」のみことばでした。しかし私たちにとって耳の痛いことばです。思いわずらいと心配、これは、私の人生に影のようについてまわり、自分では吹っ切りたい、断ち切りたいと思っても、どうしようもないものだからです。世界や日本の動向の情報を見るにつけ、読むにつけ、「思いわずらう」ことの何と多いことでしょう。

 3年前中学生だった君達は、この学校を選びました。その頃の自分の心を思い出してみましょう。暁星の説明会に来て、また先輩、学校の雰囲気、立たずまいを見て、きっと中学校生活とは違う何かを感じたことでしょう。入学式の式辞で、私は毎年「求めなさい。そうすれば与えられる。」の一節を引用して話します。中学時代までの生活を一新して、この学び舎で新しい発見があるようにと・・・。一年目、二年目、三年目の先生、先輩、後輩、職員の方々との授業、行事、体験、役割を通しての関わりの場面を思い出してみてください。

 節目、節目の振り返り、事あるごとの振り返りのシートを読み返してみてください。指導に従順に従い、言葉に励まされ、チャレンジしてきた日々だったのではないでしょうか。祈り・美化・学習の三本柱、朝の祈り・昼の黙祷・終礼での祈り、日々の掃除、ガラス磨き、ここで身に付いたやり方は、どこに行っても使えます。すべてに教えを乞うた一年生、学校の中心軸を担ってからの気苦労、指導することの難しさと責任感を持った2,3年、すべてを下級生に譲り渡した後の脱力感、よく覚えておいてください。

 暁星最後の卒業試験の後の家庭学習期間で、みんなの気持ちはどうだったでしょうか。暁星を旅立つ喜びと同時に、これからの日々に漠然と不安を感じているのではないでしょうか。暁星の校風を離れて、これからは、自分で選びながら生きていかなければならないという漠然とした不安があるのではないでしょうか。異なった体験と様々な価値観を持った人の中に入ることへの不安も感じていることでしょう。

 世界は、この私の幸福のためにあるのではないのですから、自分が世界の中心に立っていると思うのは大きな錯覚です。私の思いと望みに関わらず、世界は自由に気ままに動いています。自分にとって厳しく、辛いことがあるでしょう。しかし、私たちはその現実を冷静に受けとめなければならない時もあります。自分の力の限界を素直に落ち着いて、見つめる謙虚さが必要です。それは、人生を切り開いて、努力を放棄することを言っているのではありません。ある限りの力で現実に立ち向かっていく努力と勇気は持たなければいけません。しかし確実にそれが望み通りにいかない事実をしっかり落ち着いて受けとめること、これが謙虚さと言えるでしょう。

 私たちの人生の全体を見つめ、配慮し、導いて下さる方こそ、毎日朝の祈りで「天におられる私たちの父よ・・・・。」と祈ってきた神様です。その神の愛と力に対する信頼を持つこと、そこに希望を持つこと、一日一日頂いた一日として明るく希望を持って歩むこと、ロウソクの生き方、自分の時間、能力、労力、想いを使って、「暗いと不平を言うよりは、すすんで明かりを灯しましょう」本校が伝えてきた教育はこれだったのでしょう。

 どうぞ勇気を持って、大海原に漕ぎ出して下さい。私たちはいつもみなさんの幸せを願い祈っています。休みに来てください。いつでも待っています。

 最後になりましたが、この喜びの日に御臨席賜りましたご来賓の皆様に、高いところからではありますが、お礼申し上げます。年度末で何かとお忙しい中、しかも休日にも関わらず、本校の卒業式の時を御一緒いただき、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 また慈愛あふれる心で、三年間支えてこられた保護者の皆さま、お子様方の卒業おめでとうございます。私ども教職員一同至らない点も多々あったと思います。どうぞお許しください。この晴れの日を迎えられましたこと、皆様のお支え、ご支援の賜物と感謝しております。ありがとうございました。

 これをもちまして、私の式辞とさせていただきます。

2019年2月23日
学校法人聖ヨゼフ学園
京都暁星高等学校長  玉手 健裕

 


生徒からのサプライズに、先生・生徒も涙が止まらず、
卒業式後も担任の先生との別れを惜しむ、
感動的な式となりました。

新たな一歩を踏み出す生徒達の未来に、幸多からんことを。

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