松井聡子さん 講演会

  ウォーカソンを1週間前に控えた11月14日(金)に本校にて講演会が行われました。

  公益社団法人アジア協会アジア友の会元プロジェクトコーディネーターの松井聡子さんをお迎えして,「『協力』の現場で働くということ」というタイトルで講演をしていただきました。松井さんは,本校の11年間にわたるフィリピン研修の第1回からコーディネーターとしてお世話になっている方です。

 

  松井さんがNGO法人で働くことになったきっかけ,現在世界で起こっていること,11年間のフィリピン研修の振り返り,現在松井さんが行っているフィリピンや南三陸での支援についてのお話をしていただきました。そして最後に,こういった活動をどのように始めていけばよいのかということをご自身の経験を通じて,生徒たちにわかりやすく伝えてくださいました。

  フィリピン研修では松井さんを通して,安全な飲料水を確保できる井戸の建設,生活を確保するための果樹やマングローブの植林,文房具類の寄贈や校舎建設などの教育支援をこれまでにすることができました。また,松井さんのように活動をするためには,現地で起こっている災害を自分のこととして捉え,どこでどういった支援が必要か現地の方々とともに探り,それをすぐに行動に移すことが大切であることを伝えてくださいました。講演会の最後にはたくさんの生徒から質問があり,フィリピン支援10年の実りを確かめ,今後の活動への方向を定める,大切な学びの1日となりました。

 

~生徒の感想~

  最初,自己紹介をされたときに,どうしてそこまで積極的に活動できるのだろうと思いました。お話を聞いていく中で,やはり関心を持つことが大切だと感じました。私も今年,東北のボランティアに参加してきました。経った月日に見合った復興がなされているかといえば,そうとはとても言えないようなところも見てきました。実際に地震があった時,私は中学生でそれこそ「かわいそう」といったような感情しかなく,ボランティアなど考えてもいませんでした。しかし高校に入ってからは自分の事のように考えるということを自然にしていました。フィリピンのワークキャンプについても同じです。はじめは興味も関心もなかったのですが,暁星に入学してから180度変わりました。それは,私たちの先輩方が繋いできた歴史があるからだと思います。ワークキャンプを初めてすぐの写真と,去年の写真の違いを見て,涙が出そうになってしまいました。そして,現地の方々の健康状態まで改善されているなんて,本当に驚きました。同時に自分の非力さを痛感しました。後悔もしました。もっと支援に力を入れるべきだったと,行けば良かったと後悔しました。ただ,この後悔をもって今年のウォーカソン,来年のウォーカソン,それ以降の個人的支援をしていこうと思えました。私一人がこう思うのではなく,多くの人がこう思えるなら,平和な世界になるのではないかと考えます。私は将来教育に携わる仕事をしたいと思っています。教師になりたいのですが,知識を教えるだけでなく,こういった人間の内面的な教育も必要だと思っています。学ぶ楽しさというものを,私は感じることができているのかわかりません。義務だと考えて,しているからでしょうか。そんな日本で学ぶ楽しさをどう伝えれば良いのか,という疑問もあります。その答えを見つけるために,これから様々なところに目を向けて,たくさんのことを学びたいと思います。

 

~生徒の感想2~

  私はフィリピン研修に行ったわけではないので,全く松井さんについて知っていることはなかったのですが,松井さんのお話を聞いて,その生き方,考え方を知り,とても素晴らしい方だと思いましたし,何よりも人のために生きておられる方なんだと思いました。松井さんがされている活動自体が,各国または日本の目立った地域だけでなく,あまり目を向けられない地域にも足を運び,活動されているということで,本当に人を助けたいという思いが感じられました。そして,支援物資を送ったりするだけでなく,現地の人と共に現場で活動することを大切にしておられることは,その人たちの生の声を聞いて次へつないでいけるということにも繋がり,その場でしか知りえないものも多くあるのだなと思うと,松井さんのように活動するのは大変なのかもしれないけれど,私もできることは何事にもとことん突き詰めた行動をしたいと思いました。国際交流の場で大切なのは互いを気遣い,コミュニケーションをとること,またその地域について知ることだと言われ,私も入試のときに同じことを考えたことがあったので,その言葉にとても共感しました。そして,支援や活動をする際にも自分の事として捉えることが大切だと言われていたことが深く印象として残っています。自分の事として捉えることで,考え,活動できるということは本当にその通りだと思いましたが,実際に自分はあらゆる災害や貧困の状況などを自分の事として捉えたことがあるのかと考えたとき,私は第三者の立場で,その状況を見て,かわいそうだとか大変なことだ,という感覚でしか捉えていなかったと思うと情けなくなりました。松井さんは自ら動いていきたいとおっしゃっており,自分から動くことはとても難しいことなのに,これを実行されているというのは本当に尊敬します。松井さんは最後に自分のする仕事がどう役に立っているのかをよく考えてみてください,とおっしゃっていましたが,私も自分のためだけではなく,誰かの,なるべく多くの人のために役立てる,また自分の力に合った仕事を見つけていきたいなと思いました。松井さんの,他にも多くのお話が印象強く残っていますが,今日だけで終わりにするのではなく,これからの目標にも活かしていきたいと思います。

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