入学式が挙行されました。

 あいにくの雨となり肌寒い1日となりましたが,4月8日(土)に新入生35名を迎えて入学式が挙行されました。今年はコロナが少しだけ収まったことから,中学校の校長先生を来賓としてお招きしました。また,祝電祝詞もたくさんいただき,心温まる式になりました。皆さま,本当にありがとうございました。

 
                           聖書の朗読


入学許可および入学宣誓

 
担任による呼名


学校長式辞

 
谷口秀夫神父様 祝辞              池本清一朗PTA会長 祝辞

学校長 式辞

 入学式と言えば、桜という固定観念をくつがえし、桜前線は観測史上異例の早さで、北上し、この入学式には葉桜になるのではと気をもむ日々が続いていましたが、発想を変えると、大地の息吹を受け、新芽が出て、最も美しい新緑をみせてくれる季節での入学式、みなさんも新鮮な気持ちで、このよき日を迎えてほしいと思うことにしました。今日新入生を迎え、入学式を挙行できますことを、感謝と喜びの気持ちでいっぱいです。 

 新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。本校は、キリスト教の愛の精神を基盤にしたカトリック・ミッションスクールです。明治・大正・昭和・平成・令和と時は移り変わり、今年創立116年目を迎えました。この学校は、明治40年にフランス人の宣教師ルイ・ルラーブ神父によって、宮津市内にあるカトリック宮津教会の敷地内に誕生しました。そして、ルラーブ神父は、56年間一度も祖国フランスに帰られることなく、この丹後の地を愛し、神の愛を伝え、全生涯を女子教育に注がれました。その精神は、その後、シスター方、神父様方、数多くの先生方の支えと援助の中で、受け継がれてきました。そして今、この地で男女共学21年目を迎えているのです。共学になっても、真面目・まっすぐの伝統は、ひとりひとりと向き合う教育のあり方を通して、しっかり根付いてきています。

 さて、皆さんは、中学までの義務教育の課程を終え、京都暁星高校を選び、本校に入学されました。皆さんの中には、「なぜ勉強しなければならないのか?」 また「何を学ぶのか?」と思っている人もいるでしょう。そして皆さんを受けとった私たちは今この時代に「何を伝え、教えるのか?」と問われています。この学校は、キリスト教の教え、「ひとりひとりを良しとして創造され、かけがえのない存在として生徒達の賜物・才能を引き出していくこと」を学校の理念の中心に置いています。今を生きる若者にどんな力をつけるのか、そしてどんなセンスを育むのか、勉強、委員会、体験、クラブ、行事を通して、全人教育を目指しています。「人間として大事なことは何か」を学んでいくのです。この学校の日々の生活は祈り・美化・学習をモットーにしています。毎日の学校生活は祈りから始まります。各教科の授業、知識のみならず、体験を通しての気づき、今までとは違う丁寧な美化指導を受け、掃除の仕方も学びます。この学校は、20年もたっていますが、「きれいですね」とよく言われます。しかし、環境を美しく保つには、日々の掃除が大切なのです。毎日がある意味で修業だと思ってください。また学習面では主要5教科といわれる教科のみならず、すべての教科が人間にとって大切なものです。人間の身体を育み、養うために、健全な開かれた心をもった人間になっていくために、体育・家庭・音楽・宗教・情報・福祉すべては人間をつくり育てていくものです。入学式が聖書の言葉の朗読から始まりました。イエス・キリストの生涯を描いた書物を福音書と言いますが、この福音書には、たとえ話がたくさんあります。「神の国は何に似ているか、何にたとえようか、それは一粒のからし種に似ている。ある人が、それをとって庭にまくと、やがて育って木となり、空の鳥がその枝に巣を作る」と書かれています。からし種は1ミリもあるかないかのような小さな種です。その種の中にどんな秘密があるのか、なぜ土に蒔かれると、大きな木となり、鳥が巣をつくるようになり、大人が登っても大丈夫なほどのものになるのか?種は不思議です。昔から人間は種のもつ成長していく力を神秘的なものと考えていたに違いありません。この種の成長は、君たちひとりひとりにも当てはめることができます。君たちも今は小さな種です。しかし、たくさんの可能性を秘めた、そしてみずから成長していく力を秘めた不思議な種です。その種がどんな木に成長していくのか、誰も分かりません。いつ成長していくのかも分かりません。でも必ず成長していくのです。しかし種が成長していくためには、土に蒔かれなくてはなりません。水も必要です。太陽の光も受けなければなりません。君たちは、今日暁星という115年の間、耕されてきた土に蒔かれました。そして私たちは、君たちに水を注ぎ、太陽の光を浴びるよう、場所を準備し、成長していくように手助けをします。しかし、心に蒔かれた愛の種は、神さまのめぐみで成長し、いつか実を結びます。それを信じ、誠実に希望していきましょう。京都暁星での3年間で一人一人のいのちがより豊かになるために、私たちは協力したいと望んでいます。君たちが主人公です。頑張ってください。

 最後になりましたが、この喜びの日に御臨席賜りましたご来賓の皆様に高いところからではありますが、お礼申し上げます。年度始めの何かとお忙しい中、休日にもかかわらず、本校の入学式の時を御一緒いただき、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 保護者の皆様にひとことご挨拶申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。式辞の中で、すでにお話しさせていただきましたが、本校は、各教科の授業を通して、知識を伝えていくことはもちろんですが、生徒たちの心を育てることを大事にしています。生きていく上で、人間として大切なこと、物事を選びとり、また具体的に動いていけるようにという願いを持って、教育活動を通して、伝え続けたいと考えています。そのためにこの学校のおもいをよく理解して下さり、信頼を持ってご相談ください。親・子供・教員が信頼の中で、共に歩み、育つことを目指したいと願います。何卒よろしくお願いいたします。これをもちまして、式辞といたします。

      2023年 4月 8日

 京都暁星高等学校長  玉 手 健 裕

祝辞 レデンプトール会 谷口秀夫神父様

 新入生の皆さん、京都暁星高等学校ご入学、おめでとうございます。

今日、皆さんは入学式に臨んで、この校舎の佇まいをどう感じたでしょうか。木造平屋建ての、小さくて静かな校舎、そして優しく柔らかい感じのするこの学校の雰囲気を自分に合っているな、居心地が良さそうだな、と予感したのではないでしょうか。この学校に自分の3年間を預けてもいいな、と感じたのではないでしょうか。事実、この学校に足を踏み入れた人々の多くは、イメージと随分違っていたので、驚かれ、好感を持って受け止めてくださっているようです。しかし、それは、単に物理的な環境のせいだけではありません。先生方と在校生、そして100年以上にわたる同窓生の皆さんの心が作り上げてきた優しさが形になっているんだと思います。まさに「今の高校生に優しい佇まい」…それが暁星高校の特徴の1つです。心はこうして形になるものなのです。

    ところで、その居心地の良い環境も何のためかといいますと、その目的はただ1つ、学ぶためです。良い環境は学ぶための重要なツールです。安心して我が身を受けるやさしい環境がなければ、学びに集中することができません。しかし、学ばなければ、せっかくの環境も、あまり意味あるものとはなりません。皆さんの学ぶ姿勢一つ一つで、この環境は生きてきます。

    そしてお互いの思い遣りで、この環境を保ち続ける…すなわち、掃除を心を込めてする。自分のためではなく、お互いを思い遣って共有の空間をきれいにする。暁星はこのことをとても大事にしてきました。これは皆さんの生きる姿勢を形成するでしょう。決して時代遅れの美徳なのではありません。また掃除は心も清めます。心を清めるつもりで、掃除をしてください。「心を清める」それがどういうことかわかりますか。それがわかるために、ミッションスクールに独自の教科…「宗教」があります。どうかこの教科もしっかり学んでください。もしかしたら、今まで皆さんが持っていなかった新しい視点が得られるかもしれません。

    さて、昨年の入学式で、私は「学ぶ事は生き抜くため」と言いました。生き抜くとか、サバイバルとか、なんだか暑苦しい感じがしますが、そうではありません。学ぶことの目的はいろいろ考えられますが、大きく構えて言いますと、私は「生きることを愉しくするため」だと思っています。そのためには、私たちが生きているこの世界が皆さんにどう見えているかが肝心です。世界と自然、そこに生きている多様な人間の多様な営みがとてもエキサイティングで、興味が尽きないと見えているか、です。私たちが暮らしているこの丹後の地域でさえ、見ようによってはとても興味深いものが隠されています。世界に対するそんな眼差しを養ってください。世界とその現在・過去・未来は、学べば学ぶほどに興味が尽きないものです。どうか、皆さん一人ひとりの人生をエキサイティングなものにするため、すなわち、生きることが心底、愉しいと思えるように、この暁星高校で存分に学んでください。先生は、親身になって、皆さんの学びに付き合ってくださるでしょう。「でも神父様、私は世界に興味がなくてもいいのです。ただ生きる。それが無常の愉しみ…」なんてことを言う人もいるかもしれませんが、それはちょっと年寄りじみています。その心境はもっと歳をとってからにしましょう。皆さんは世界に開かれた心で、あらゆることに広く深く関心を持ってください。何事であれ、「関心を持つ」ーーそれがもう学びです。そして、学べば学ぶほど、面白いものを見せてくれるのがこの世界です。それでは、いつの日か、たくましく成長された皆さんとお出会いすることができますように。また暁星での学びが愉しいものとなりますように。

 

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