東日本大震災支援ウォーカソン 実施報告
大型連休に入り、検定取得・定期考査のための学習や家族揃って過ごす時間が多くなったのではないでしょうか。
暁星高校では5月2日、一昨年に起きた東日本大震災の復興支援のウォーカソンを実施しました。当日は、心配された天気ももち直し、晴れ間も見えました。教員、生徒、保護者の方々合計42名が網野聖堂→峰山教会→大宮聖堂→岩滝聖堂→宮津教会と5つの教会(距離にして36.2km)を巡礼し、被災された方々に思いを馳せ、祈りながら歩きました。
≪網野聖堂≫8:30発
早朝7:00に暁星高校を出たマイクロバスは生徒等を乗せて網野聖堂へ向かいます。現地集合組を合わせた19名がここからスタート。早朝にも関わらず網野聖堂には教会の方々が待っていて下さり、温かい声援をいただきました。
8:20から行われた祈りでは、1日無事に歩ききることができるように、そして震災の起きた現地でボランティアに関わる人々のために祈りました。
【 現地でボランティアに関わる人々へ 】
現地でボランティアに関わる人々のために祈ります。東日本大震災から二年が経っても、一日も休まずに被災者の方のために自分の労力を差し出し、働いている方々が復興の歩みを推し進めていることを感じます。その方々の働きが神様の力によって、痛みを持つ方の大きな恵みになりますように。また、ボランティアの方が怪我無く、健康に活動することができますように神様、見守って下さい。
≪峰山教会≫10:15着
網野聖堂を出発した時から雲行きが怪しく、一瞬雨が降った時もありましたが何とか峰山教会に到着。ここでも多くの教会の方が出迎えてくれました。少し休憩をした後、お祈りの時間をもちました。ここでは原発事故後の現場で処理にあたっている人々に対して祈りました。
写真左:今回は網野聖堂から万歩計を持参。峰山聖堂までで1万1千歩!宮津教会到着時には何歩になっているでしょうか?
【 原発事故後の現場で処理にあたっている人々へ 】
原発事故後、今もなお現場で処理にあたっている人々のために祈ります。原発事故の放射能問題が解決されないまま、現在も多くの人々が自分に対する被害を顧みず、少しでも改善できるように闘っておられます。私たちが現在過ごす、これまでと変わらない便利な生活の裏で、未だ解決を見ない原発の事故処理に命を懸けて、あたっておられる方々のことを心に留めて、過ごすことができますように。
≪大宮聖堂≫12:10着
時折晴れ間も見えはじめた前半戦の終盤。大宮聖堂に着く頃にはメンバーの顔も少し疲れが見えはじめました。ここで昼食も兼ねて長めの休憩をしました。ストレッチやマッサージなどをして体を休め後半戦に備えます。
またここからは21名の教員と生徒が合流し一緒に宮津教会を目指します。
昼食を終えると後半組と一緒にお祈りの時間をもちました。ここでは第一次産業に関わる人々のために祈りました。
【 第1次産業に関わる人々へ 】
第一次産業にたずさわっている人々のために祈ります。行政の支援を受けて、農業や漁業が段々と再開してきましたが、未だ風評被害や、支援の網の目からこぼれ、復興の手が施されないままの産業もあります。その方たちは毎日の生活だけでも精一杯で、苦労されていると思います。その方々が、一歩ずつ復興に向かって、希望ある明日を迎えることができますように。
今回は自作のTシャツを着て歩く生徒も。気持ちを一つにして歩いています。
人数が多くなったので、列にも迫力が出ます。
朝の雲が嘘のような快晴。歩くのが気持ち良く感じます。
≪岩滝聖堂≫16:10着
今回のウォーカソンの巡礼の中で一番長い12.6kmを歩き着いた岩滝聖堂。夕刻ですがまだまだ陽は高く明るく照らしてくれます。疲れた表情や足の痛みを気にしている参加者に対して温かい対応で私たちの心を癒していただきました。「ここまで来るとあと少し」「頑張ろう」と言う声も聞こえ最終地点まで無事に行ける事を願いながら休息をし、その後のお祈りの時間では、仮設での生活を余儀なくされている人々へお祈りしました。
【 仮設での生活を余儀なくされている人々へ 】
仮設での生活を余儀なくされている人々のために祈ります。住み慣れた家を離れることで、これまで当たり前のようにあった地域性が崩壊し、孤立感を深めている方もいらっしゃいます。大変な環境の中で暮らす方たちへ私たちができる支援は少しかもしれませんが、そのような方々に思いをはせ、これから先も私たちの思いを繋ぎ、祈り続ける事が出来ますようにお導きください。
≪宮津教会≫18:45着
生徒会長より「最後の宮津教会まで、もう一度今回の歩く意味と趣旨を考えながら歩きましょう。」と言われ岩滝聖堂を出発。一人一人が大切にしているものを考えながら歩いていきました。また宮津教会ではたくさんの教会員や保護者の方に拍手で迎えられ、歩ききった達成感と充実感から涙を流す生徒もいました。聖堂で放射能の影響で家があっても帰宅できない人々へ、そして子供たち、高齢者、外国籍の人々へ祈りを捧げ、その後ルラーブ館にて、お茶とお菓子をいただき解散しました。
【 放射能の影響で家があっても帰宅できない人々へ 】
放射能の影響で、家があっても帰宅できない人々のために祈ります。東日本大震災から約二年経ちましたが、放射能は消えることなく、そしてこれから、いつ安全で安心して暮らせるようになるかも目途が立っていません。これまで、便利さや、快適さばかりを追い求めていた私たちの生き方を顧み、現在も苦しんでおられる方々が、少しでも早く家に帰り、安心で安全な暮らしを一日も早く取り戻すことができますように。
【 子供たち、高齢者、外国籍の人々へ 】
子供たち・外国籍の人々・高齢者の方々のために祈ります。東日本大震災は、大人でも背負いきれないほどの悲しみを小さな子供たちにももたらし、今もなお、たくさんの子供たちが苦しみながら闘っています。また日本という異国の地で、被災された外国の方々も日本人と同じように戦い、母国の家族の方々の心配も計り知れません。高齢者の方々も仕事や、生きがいを無くし、さらには長年住み慣れた家や地域を離れ、仮設住宅暮らしを強いられることで、希望を失っておられる方もいらっしゃると思います。その方々の悲しみや痛みを、心に留めて歩み事が出来ますように。
【 2011.3.11 東日本大震災を受けて 】
祈りをともに
この世界を造り、わたしたちを守ってくださる神さま、
わたしたちが自然の中で生き、自然と共に生かされていることに感謝します。
東日本大震災によって苦しむ人々のために、
あなたからの助けと励ましを与えてください。
そして、わたしたちと自然が共にあなたによって造られたものであることを、
忘れることがないようにしてください。
あなたはどのような時にもわたしたちから離れることなく、
喜びや悲しみや苦しみを共にしてくださいます。
神さま、傷ついている人々のために、行動を起こす決意をわたしたちに与えてください。
神さまがわたしたちに、何を望んでおられるのか、
日々の学びの中から知ることができますように。
主イエス・キリストのみ名によって。アーメン
今回で3回目となる東日本大震災支援ウォーカソン。毎回生徒会が主催で行われるのですが、震災直後から比べても日に日にTVや新聞などに取り上げられることが少なくなっている震災後の状況。少なくなっているからといって決して復興が順調に進んでいるわけではない現状をどう伝え、継続的に支援が出来るのかを考えるきっかけをいただいたと思います。
当日、お忙しい中教会で私たちが来るのを待っていてくれた方。歩いている途中にも沿道から手を振って下さったり、声援を下さったり、わざわざ車を止めて募金をしてくださるなど、とても温かい気持ちになり、この想いを大切にしなければならないと改めて思いました。
今回のウォーカソンは被災地でのホヤ養殖補助に使わせて頂く予定です。アワビや牡蠣は行政からの支援がありましたが、ホヤにはありませんでした。またホヤの養殖は成長するまで4年もかかるそうで、現在、全て1からのスタートになっているそうです。今回はそういう支援の網の目からこぼれているところに届けられます。
私達は出来ることは限られていますが、出来ることを出来る限り。これからも暁星高校は復興に向かう東日本への支援をしていきます。
5/3付 京都新聞より
5/3付 毎日新聞より
網野から持ち歩いた万歩計。最終歩数は4万9千歩でした!
ホヤ養殖補助について・・・
岩手県大船渡市にある砂子浜は、もともと漁業が盛んな街です。その中でもホタテの養殖は1年で水揚げ出来ることから、政府の復興支援により、必要な作業用テント、漁具が整えられ、漁業も再開している所も多くなっています。
しかし、ホヤは牡蠣やホタテ養殖の副産物として獲れる事もあり、水揚げのデータが乏しいという理由などから、政府の復興支援の対象から外されてしまいました。さらに、成長するために3~4年かかるホヤは、2年前の津波により1年目から4年目までの成長途中のものが全てダメになり、今から漁業を再開したとしても、収入になるまでの生活はとても厳しい状況にあります。
そもそもホヤとはどういったものなのでしょうか。
原索動物の一種で、ホヤ目に属します。ホヤ特有の不飽和アルコールによる独特の磯の風味があり、生のまま刺身、酢の物などにして食べるのが普通ですが、塩辛にしたり燻製にしたり唐揚げにしたりもします。ホヤの仲間には日本だけでも百数十種程もいると言われていますが、食用とされているものはマボヤやアカボヤなどごく一部。マボヤは全国的に生息していますが、牡鹿半島、男鹿半島以北の東北地方に多く、特に岩手から宮城に至る三陸沿岸では養殖も行われ主産地となっています。生産量も、岩手県、宮城県、そして青森県で全国の約95%を水揚げしています。
昨年度秋に行なわれたウォーカソンの費用から、1玉(25m)から20本のロープを切り出すことが出来るホヤ養殖用のロープを25玉、その他必要機材も含め、総額約40万円を今年3月に現地へ行って、ホヤ養殖専業漁業をしているご家族に、直接手渡してきました。
ホタテ養殖を主にするこの土地の中で、政府からの支援の網から完全にこぼれ落ちてしまった家族の方々の悔しさ、悲しさをどうにか出来ないかと考え今回の動きに繋がりました。政府の支援の手が行き届かない所にこそ、スポットを当てていきたい。私たちが出来ることは極わずかですが、小さな力でもゆっくりと復興に向けて支援していけたらと思います。
写真左:ホヤの種苗をつけたロープ(昨年秋のウォーカソンから贈ったもの) 写真右:3~4年経つとホヤが成長します。
出荷される前のホヤ。
見た目や食感から「海のパイナップル」と呼ばれています。