2月28日(金)に卒業式が挙行されました。先週は多めの雪が続いていた丹後でしたが,この日は少しだけ暖かな一日となりました。今年度もご来賓の方々にもお越しいただきありがとうございました。また,たくさんの方からのご祝電・ご祝詞をいただきました。重ねて御礼申し上げます。




学校長式辞
第20回卒業式 式辞
山陰の冬を思い出すかぎり、今年のような積雪の少ない冬の体験は珍しいことです。廊下に生けてある花を見て、嬉しいというより、地球温暖化が進んでいることへの危惧を感じます。日本の四季折々の季節が、巡りくるのは当たり前と思っていましたが、四季の自然の美しさを愛でる一年であることを祈りたいと思います。
さて、今年度は創立117年目を歩み、その年にこの学び舎を巣立っていく皆さん、卒業おめでとうございます。今、この壇上から君たちを見ていると、一人ひとり毅然として、たくましく大きく育っているのを感じます。3年前の入学式を思い出してください。君たちには京都暁星高等学校の制服に身を包み、緊張気味にこの場に立っていました。私はこんな話から始めました。様々な選びがある中で、皆さんは暁星を選びました。これから始まる暁星での高校生活は、今までの中学校生活と違うことを飲み込んでください。日々の祈り、学習、掃除、また年間行事やクラブや委員会活動や様々な体験を通してその精神を体感して下さい。人と出会い、言葉に出会い、出来事に目を開き、自分たちが生きている世界に目を開き、関わり、そこで感じることを大切にすることによって、本当の生き方に気づかされていくのですと話しました。皆さんは、この3年間、毎日の様々な場での祈りを通して、手を合わせること自分のため、人のために祈ることを教わりました。そして誰かのために生きることの大切さ、実際に身体を動かして、やってみることを授業や美化を通して学びました。エプロンをしての掃除、敷地内の除草作業など、まるで修行に来たように感じたかもしれませんが、これが暁星の特色なのです。型から入り、それに意味があることに、少しずつ気づいていくやり方なのです。この3年間で、この型が身についたと信じています。そして今年度は春のウォーカソン・文化祭・福島県や能登半島でのボランティア・体育祭・秋のウォーカソン・学校クリスマス・2次能登ボランティア・釜ヶ崎体験など、色々な取り組みを実施することができました。後輩1・2年生の指導ありがとうございました。
また、皆さんはキリスト教の精神を基盤にしたカトリックミッションスクール暁星で過ごしました。この間、ミサやみ言葉の祭儀、昼の黙祷、宗教の授業、行事、校長講話、最後の黙想会などを通して、聖書の言葉に出会いました。3年前の入学式も聖書の朗読で始まりました。“求めなさい・探しなさい・門をたたきなさい”という箇所でした。私は昨年この箇所を改めてかみしめる機会がありました。袴田巌さんの無罪確定と日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞です。この2つの出来事がそれぞれ始まりから58年と79年という長い年月が経ったことを考えると、この聖句を言い換えなければなりません。“求め続け・探し続け・たたき続ける”と。
私たちが諦めない限り、”求め続け、探し続け、門をたたき続け“ているかぎり、道は必ず開かれるのです。そのことを信じながら、正義と平和を求める道を歩み続けましょう。「聖書は世界のベストセラーだと聞いたが、読んでみると難しくて意味が解らない」そう思っている人もいるかもしれません。たしかに大昔に日本とはずいぶん違う文化の中で書かれた本なので、わかりにくいところがあります。しかしそこに描かれているのは、沢山の弱さを抱えながらも、頑張って生きようとしている私たちと同じ人間の姿です。日本人である私たちの心にも響く言葉が沢山あるのです。今日読まれた聖書は「地の塩、世の光です」の箇所です。「世の光」は今年の学校クリスマスのテーマでもありました。このみ言葉は”教え“ではありません。”宣言“です。君たちは「地の塩 世の光」だと宣言しているのです。塩を頭に浮かべて下さい。塩は主張しません。自分の姿を溶かし、見えません。塩はミネラル分として、体に必要ですし、また食べ物の味付けをし、腐るのを防ぐ働きがあります。日本では清めの為にも塩を使います。光はそれと正反対で、確かな存在として周りを照らします。隠されず、輝かすことによって、人々を惹きつける求心的な働きをします。どの光も、人の心を温め、明るくし、安心させます。そして時には希望や勇気を与えるのです。私たちは大きな光になれなくても、小さな光として誰かの心を喜ばせ、希望や勇気を与えることができるのです。このように一人ひとりも、この世に味を付け、世界を照らしていく存在なのです。私たちは生まれた瞬間から、この地でそしてこの世界で、その使命を果たすよう神様から望まれているのです。
さて、私たちは今年もクリスマス・タブロの映像で、闇の部分を見てきました。この一年も”平和を求めて、そして被災された人たちのために”祈ってきました。マタイの福音書には「剣をさやに納めなさい。剣をとる者は剣によって滅びる」とあります。相手を力でねじ伏せても、いつまでも強いままではいられず、さらに強いものによってねじ伏せられます。この繰り返しが人間の歴史です。イエスは暴力的に逮捕しに来た人たちにも抵抗せず、非暴力を貫きます。イエスが教えてきたことは人を大切にすること、愛することです。イエスは暴力の連鎖を断ち切って、許すことを教え、愛の連鎖が続いていくことを願っているのです。今、難しい世界の状況にある私たちが暴力や憎しみではなく、平和を推進する人間になることが求められています。世界の動き、国内の動きを注視していきましょう。自分も他人も大事にする生き方を続けてください。祈ることを忘れないでください。人間のすることには限界があります。失望することもあるでしょう。祈りは希望です。君たちの心の故郷は暁星です。いつでも来てください。先生方は忙しくしているかもしれません。でもその風景こそ、みんなとの日々を思い出されるでしょう。
最後になりましたが、この喜びの日にご臨席賜りましたご来賓の皆様に、高いところからではありますが、お礼申し上げます。年度末、ご公務で何かとお忙しい中、本校の卒業式の時をご一緒いただき、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。また、慈愛あふれる心で三年間支えてこられた保護者の皆様、お子様の卒業おめでとうございます。この3年間様々な行事、活動にご参加下さり、盛り上げて下さりありがとうございました。また、感染防止にも協力下さり、感謝しています。この時節、私ども教職員一同至らない点も多々あったと思います。どうかお許しください。この晴れの日を迎えられましたこと皆様のご支援の賜物と感謝しております。ありがとうございました。
これを持ちまして私の式辞といたします。













感謝の祈り
私たちを京都暁星に導き、三年間を見守ってくださった神よ。多くの出会いと成長を与えてくださったことに感謝します。自然豊かな落ち着いた環境で、学習に打ち込めました。また学校生活を通して、一生懸命努力し、誠実に物事に向き合う大切さを学びました。そのどれもが私たち一人ひとりに愛をもって向き合ってくださった先生方のおかげです。一人ひとりを大切にする京都暁星がこれから先も、多くの子どもたちの笑顔と成長の場であり続けるよう、支え、導いてください。
★神よ 私たちの祈りを聞き入れてください
いつも私たちを勇気づけてくださった神様。京都暁星でしか味わえない多くの体験と学びをいただいたことに感謝します。私たちにとって挑戦でもあった体験のどれもが、自身の視野を広げ、考えを深めるものでした。現地に実際に行き、そこで生きる人々とつながることで、ネットや人づてではわからない、ほんものを見ることが出来ました。これから社会の一員になる私たちが、物事の本質を見つめ、他者のために自身を差し出すことができるように、強め、励ましてください。
★神よ 私たちの祈りを聞き入れてください
愛の源である神様。今日までの私たちの歩みを、そばで支えてくださったすべての方に感謝します。辛く苦しい時など、いろんな感情に悩み、大きな壁にぶつかることも多くありましたが、どんな時も家族や友人が受けとめ、支えてくれました。また私たちの学びをサポートするために、多くの先生や職員の方々の力をいただき、充実した学校生活を送ることが出来ました。これまで関わってくださったすべての方々にあなたの恵みが注がれ、平和と癒やしがありますように。
★神よ 私たちの祈りを聞き入れてください
