おはようございます。
今年度最後のお話になります。放送朝礼で読んでいただこうと思っていた原稿があるので、それを読んでおきたいと思います。
私は先月の後半、風邪をひいてしまいました。のどが痛かったり、咳が出たり、鼻水が出たり、寒気がしたり、微熱も続き、なかなか性質の悪い風邪で、何日にもわたってその症状に苦しめられました。今も調子よくないのですが。しかし、風邪をひく度に思うのですが、風邪の時には辛いだけではなく、貴重な体験もすることができます。例えば病気になると病気の人の苦しみを体験的に理解することができます。健康なときには「風邪くらいで」とか「たかが風邪で」などと風邪の人のことを話したりしてしまいますが、いざ自分が風邪をひくと、結構辛いものだったんだと改めて気付いたりします。その他にも、風邪をひいたときにできる貴重な体験はいくつかあると思いますが、その中でも一番貴重な体験は、立ち止まって自分に目を向けることができることだと思います。これは風邪をひいたときだけではなく、何か失敗をしたり、間違いを犯したり、何か悩んだりするときも同じです。普段、私たちは自分が何を考えているのか、何を感じているのかということには、あまり目を向けません。忙しく毎日を過ごしている私たちは、そんなことをいちいち気にしなくても、普段は上手くやっているからです。
しかし、ひとたび心や体のバランスが少しでも崩れると、目は自然と自分の方に向かいます。「どうして風邪なんかひいたんだろう」「何であんな失敗をしてしまったんだろう」「何であんなことを言ってしまったんだろう」そういう様々な思いにとらわれて、自分を見つめ直します。
心と体のバランスを崩すことは辛いことではありますが、それがなければ自分に目を向ける機会もきっとありません。ですから、このようなときに自分自身をしっかり見つめてみることは、その後の成長のために非常に貴重な体験になるのではないでしょうか。
こう考えると私たちの毎日の出来事は、みんな自分の成長と関わっているのです。皆さんはどうでしょう。
「足元を見てください。あなたが歩んでいる道です」
「前方を見てください。あなたが歩いていく道です」
今皆さんはどんな道を歩いているのでしょう。そしてこれからどんな道を歩もうとしているのでしょうか。自分の歩んでいく道をしっかり定めてほしいと思います。「道」といえばキリストはご自分を「道だ」と断言しておられます。「私は道であり、心理であり、命である。」ヨハネ14章6節にある言葉です。人間が父なる神のもとに行くための道だというのです。人間が豊かな人生を生きるための道だと断言しているのです。聖ペテロや聖パウロの活躍を記している。「使徒言行録」には「主の道」とか「この道」とかいう言葉がしばしば出てきます。キリストに倣い、キリストに従う者として自分たちを考えていたわけです。今私たちはどんな道を歩んでいるのか振り返り、こから歩んでいく道をしっかり見出すことができるように祈りたいと思います。