釜ヶ崎体験学習

 2月3日と4日の1泊2日で大阪市西成区にある釜ヶ崎へ3年生4名と教員3名で体験学習に行ってきました。暁星を朝5時半に出発し,釜ヶ崎にあるイエズス会 社会司牧センター 旅路の里に7時40分に到着しました。到着後に支援物資を運び入れた後,早速,炊き出しを行う三角公園に向かいました。人参,大根,ジャガイモ,玉ねぎなどの野菜を切る作業と,鍋を入れた具材を混ぜる作業など与えられた役割を一生懸命取り組みました。大根は野菜を保管する倉庫で凍ってしまっていたので作業が難航しました。11時半には配食が始まりました。いつもよりは少ないと言われましたが,列に並ぶおじさんたちの多さに圧倒されました。

 旅路の里に戻ってからは,職員の福田さんよりオリエンテーションがありました。日雇い労働者の街として栄え,不況の影響をまともに受けた釜ヶ崎と支援活動を始めた旅路の里の歴史を中心に現在にいたるまでの状況を丁寧に教えてもらい,その後,釜ヶ崎を一緒に巡りました。少し離れたところに「新世界」という若者が集まるキラキラした観光地があり,釜ヶ崎との雰囲気のギャップにやるせなさを感じ,思わずため息が出ました。

 夕方には,野宿者ネットワークの生田武志さんにご講話を頂きました。日雇い労働の大変さ,一度野宿になってしまったら元の生活に戻れない社会の構造悪,おじさんだけでなく女性やこどももホームレスになっている現実,なくならない少年による襲撃事件と社会の背景。淡々とお話を進められるなかにこれまでの生田さんの活動のご苦労と折れない強い意志を感じました。その後,引き続き野宿者ネットワークの夜回りに参加させていただきました。暁星は,釜ヶ崎と心斎橋を回るグループと隣りにある山王という地域を回るグループに分かれて,野宿されている方々に声をかけてカイロやパンとジュースを配りました。生徒たちは初めは緊張した面持ちでしたが,おじさんたちが優しく話をしてくださったおかげで緊張がほぐれ,「頑張れよ!」と逆に励まされました。と同時に,同じ人間なのにどうしておじさんたちがこんな目に遭わないといけないのかというモヤモヤした気持ちもわいてきました。

 2日目の朝はふるさとの家に行き,フランシスコ会の本田哲郎神父様によるミサに与りました。祈るだけでなく行動を伴うことこそ大切であるというお話で,釜ヶ崎だけでなく,能登半島の震災で苦しんでいる方々や自分たちの身近なところにいる方のための行動にも当てはまる話だと感じました。きっとこの日に参加した私たちに向けて語ってくださったと受け止めました。

 その後,旅路の里に戻り,聖母被昇天修道会のシスターマリアにご講話を頂きました。仕事を求めて釜ヶ崎に来たおじさんたちが日雇い労働というシステムのなかで人として扱われなくなった現実。苦しみのなかに生きるおじさんたちこそ,まわりの人を思いやり分けあう生き方をしていること。キリスト教の生き方を生徒たちに伝えてくださいました。体験することが大事,見て感じることが本物です。と,私たちの活動を励ましてくださいました。

 そして,旅路の里の福田さんとふるさとの家の納骨堂を拝見したあとに,一緒に最後の分かち合いを行いました。一人ひとりが2日間のエネルギーグラフを描きながら,全体の振り返りを行いました。

「釜ヶ崎の人は弱い立場にある強い人」(シスターマリア)

「祈るよりも具体的な行動が大事」(本田神父様)

「カイロを受けとるかどうかはその人の意思次第。ご本人の意思を一番に優先する。」(野宿者ネットワーク)

それぞれが心に残った言葉を発表して終わりました。今回お世話になったたくさんの方に感謝します。ありがとうございました。

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